外国法人の財務諸表監査義務基準 実務まとめ
外国法人であっても、韓国で設立された株式会社・有限会社であれば、資産・売上・負債・従業員の4指標のうち一定基準を超えると外部監査を受けなければなりません。 対象には、韓国法に基づき設立された外国投資企業、外国人単独出資法人、韓国に本店を置くすべての株式会社・有限会社が含まれます。 本記事では、監査対象判定基準、外国本社報告と韓国監査の違い、直前事業年度基準の適用時によく混乱するポイント、監査人指定および未監査時の制裁までを扱います。
外国法人が外部監査を受けなければならない法的根拠
核心は「株式会社等の外部監査に関する法律」(以下、外監法)です。 株主が外国人であれ韓国人であれ、韓国に本店を置く株式会社・有限会社であれば、この法律の適用を受けます。 すなわち、外国法人の韓国子会社であっても、韓国商法上の会社であれば同一基準が適用されます。
外監法の適用範囲
外監法第4条は、直前事業年度末を基準として一定規模以上の会社を外部監査対象と定めています。 株式会社だけでなく、2018年以降は有限会社も含まれます。 実務では、外国本社がLLCであるため韓国子会社を有限会社として設立するケースが多いのですが、この場合も外監法を回避することはできません。
法令原文は国家法令情報センター 外監法で直接確認できます。
外国法人の支店・連絡事務所との違い
外国法人の韓国支店は別個の法人格を持たないため、外監法の適用対象ではありません。 ただし「外国為替取引法」上、外国企業の国内支店決算報告義務は別途存在します。 連絡事務所は営業活動を行わないため、監査義務そのものが発生しません。 この区分を見落とすと、支店なのに韓国監査を受けようとしたり、法人なのに報告だけで済むと誤解する事態が起こります。
外部監査対象判定 4指標
実務で最も多く尋ねられるのがまさにこの点です。 直前事業年度末を基準として、次の4指標のうち2つ以上に該当すれば外部監査対象となります。
| 指標 | 基準 | 判断時点 |
|---|---|---|
| 資産総額 | 一定規模以上 | 直前事業年度末 |
| 売上高 | 一定規模以上 | 直前事業年度 |
| 負債総額 | 一定規模以上 | 直前事業年度末 |
| 従業員数 | 一定人員以上 | 直前事業年度末 |
注意: 具体的な金額・人員基準は施行令の改正により変更されてきました。ご自身の会社に適用される基準は、無料相談時に直前事業年度の決算数値とともにご確認ください。
資産総額・負債総額基準でよく詰まるポイント
資産総額は貸借対照表上の資産の合計です。 外国法人でよく見落とされるのは、本社から受けた長期借入金が負債としてそのまま計上される点です。 本社借入が大きいと、資本が小さくても負債総額基準で即座に引っかかります。 むしろ資産より負債が先に閾値に到達する事例が多いです。
売上高・従業員数基準の落とし穴
売上高は会計基準上の売上高であり、営業外収益は除外されます。 従業員数は常時勤務人員であり、登記役員や日雇い処理基準が紛らわしい部分です。 派遣・請負人員を本社社員として誤って計上すると、従業員数が水増しされて監査対象と判定されることもあります。 実務では、社会保険加入者基準で算定するのが最も安全です。
株式会社と有限会社の監査基準の違い
外見上は同じ外監法適用対象ですが、株式会社と有限会社では細部基準に差があります。
| 区分 | 株式会社 | 有限会社 |
|---|---|---|
| 外監法適用 | 2018年以前から | 2020年事業年度から適用 |
| 社員数基準 | 該当なし | 社員50名以上の別途基準を追加 |
| 監査報告書の公示 | 金融監督院 電子公示 | 一部公示義務が緩和 |
有限会社として設立した外国子会社の誤解
外国本社が韓国子会社を有限会社として設立すれば監査を受けなくてよいと思い込んでいるケースが多くあります。 実際には2020年事業年度から有限会社も同様に外監法適用対象です。 社員数が50名以上であれば、他の指標を見るまでもなく即座に監査対象になり得ます。 この点を見落とし、決算時点で慌てて監査人を探すケースが毎年繰り返されています。
外国投資企業として登録されている場合の追加義務
外国人投資促進法上の外国人投資企業として登録されると、外監法とは別に産業通商資源部およびKOTRAへの報告義務があります。 監査報告書が外国人投資企業の届出更新・変更時に添付書類として要求されることもあります。 すなわち、外監法上は非対象であっても、外投企業報告用の決算書が必要となる場合があります。
本社連結報告と韓国単独監査の違い
外国法人で最も混同される部分が、本社グループ監査と韓国外部監査の関係です。
本社のPwC・EY監査を受けたのに韓国監査がさらに必要か
本社グループ監査人が韓国子会社の数値をパッケージ報告で受けたという事実と、韓国外監法上、韓国法人が韓国の監査人による監査を受けることは別個のものです。 韓国外監法基準を満たせば、韓国監査人の選任が強制されます。 本社監査人をそのまま使うには、当該法人が韓国で登録会計法人でなければならず、通常はビッグ4の韓国法人がこの役割を担います。
監査人指定 vs 自由選任
原則として、会社が監査人を自由選任します。 ただし、上場会社や一定要件に該当する会社は、金融委員会が監査人を指定します。 外国法人であっても、上場や指定事由に該当すれば自由選任が制限されます。
実務のヒント: 決算締切直前に監査人を探すとスケジュールが破綻します。韓国は12月決算法人が圧倒的に多く、1〜3月は監査人の需給が最も逼迫します。
正確な費用と手続きは専門家相談を通じてご確認ください。 電話 02-363-2251 / カカオトーク: alexkorea

監査義務に違反した場合に実際に起こること
監査対象であるにもかかわらず外部監査を受けないと、単なる過料では済みません。
過料・刑事処罰・役員解任勧告
外監法は監査未履行時に、会社だけでなく代表取締役個人に対する制裁まで規定しています。 過料は事案によって金額が異なり、反復・故意の場合には刑事処罰にまで至り得ます。 外国人代表取締役の場合、出入国記録にも影響が及ぶ可能性があり、よりセンシティブです。
外投企業申告・税務調査への波及
監査報告書がないと、外国人投資企業の事後管理報告が正常に処理されません。 国税庁の立場では、監査を受けていない財務諸表の信頼度が低いと判断し、税務調査の優先順位に分類される事例が増えています。 この部分が弱いと、単なる会計上の問題が査証・税務全般のリスクへと拡大しかねません。
本社報告との衝突
韓国監査がない状態で本社グループ連結に組み込まれると、本社監査人が韓国部分に限定意見・留保を付すケースが実際に存在します。 そうなると本社のIR・公示問題にまで発展するため、韓国監査は韓国だけの問題ではありません。
決算スケジュールと監査人選任の実務手順
外監法上、監査人選任のタイミングは非常にタイトです。
新規に監査対象となった初年度の手順
- 直前事業年度の決算確定
- 外監法4指標の適用有無の判定
- 該当する場合、事業年度開始後の一定期間内に監査人を選任
- 監査契約の締結および金融監督院 電子公示システムへの報告
- 決算後の監査実施 → 監査報告書の受領
- 定期株主総会の1週間前までに監査報告書を備置
選任時点を逃すと、監査人指定事由に転換される可能性があります。
外国法人が特に留意すべき点
本社の会計基準(IFRS・US GAAP)と韓国K-IFRS・一般企業会計基準との差異調整表をあらかじめ準備する必要があります。 本社の決裁ラインが長いと韓国監査のスケジュールが頻繁に遅延するため、本社CFO・税務チームとのスケジュール調整を決算前に終えておく必要があります。 最近、本社連結時点と韓国の定期株主総会日程が合わず、監査報告書を再度受領する事例が増えています。
FAQ
Q1. 売上がない新設の外国法人も外部監査を受ける必要がありますか? 直前事業年度末基準で資産総額・負債総額が閾値を超えれば、売上がなくても監査対象となります。 本社借入金で資本金以外の資金を持ち込むと、負債総額で先に引っかかる事例が多いです。
Q2. 12月決算ではない外国法人は基準が異なりますか? 適用時点は直前事業年度末であるため、決算月によって判定時点が変わるだけで、基準そのものは同一です。 ただし、監査人の需給は12月決算会社が集中する1〜3月を避ければはるかにスムーズです。
Q3. 本社のビッグ4監査人がそのまま韓国子会社を監査できますか? 韓国に登録された会計法人でなければならず、ビッグ4の韓国法人が別途契約で実施します。 本社の監査パッケージと韓国外監法上の監査報告書は別個の成果物です。
Q4. 有限会社に変更すれば監査を回避できますか? 2020年事業年度から有限会社も外監法適用対象となったため、形態変更だけでは意味がありません。 むしろ社員数50名基準が追加され、より不利になる可能性があります。
Q5. 監査報告書はどこまで公開されますか? 株式会社の監査報告書は金融監督院 DARTに公示されます。 有限会社は一部公示義務が緩和されていますが、外投企業報告・銀行取引・税務検証などでは事実上要求されます。
Q6. 監査費用はいくらですか? 会社規模・取引の複雑度・本社報告要求水準によって差が大きいです。 費用は事例ごとに異なりますので、無料相談時に正確にご案内いたします。
専門家への相談が必要ですか?
外国法人の外部監査義務判定は、直前事業年度の決算数値を一行ずつ見ながら判断する必要があります。 本社借入金の構造、外投企業登録の有無、決算月、本社グループ監査スケジュールまですべて束ねて見て初めて、正確な答えが出ます。
ビジョン行政士事務所は、外国法人の設立から外監法適用判定、監査人選任、外投企業の事後管理報告までを連結してサポートいたします。
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