韓国での投資プロジェクト失敗後のビザ対応 — D-8在留資格の維持・変更実務
投資した事業が行き詰まっても、D-8の在留資格がその日のうちに消えるわけではありません。しかし法人としての実体と外国人投資企業登録が整理された瞬間、延長審査で直ちに行き詰まります。
対象となるのは、D-8-1(法人投資)、D-8-4(技術創業)で在留しながら、廃業・休業・債務超過・投資金の回収を控えている外国人投資家です。
以下では、在留資格が揺らぎ始める時点、期限内に済ませるべき届出、変更可能な在留資格、投資金の回収と出国時の整理まで、順を追って解説します。
投資事業の失敗でD-8在留資格が揺らぐ時点
廃業よりも「外国人投資企業登録の抹消」が先に表面化します
多くの投資家は廃業申告日を基準に考えますが、実際の審査ではそれより前の段階でシグナルが捕捉されます。
「外国人投資促進法」第21条に基づく外国人投資企業登録が抹消されると、D-8の根拠そのものが消滅したものとみなされます。
株式を全部譲渡した場合や、投資金を回収して外国人投資企業の要件から外れた場合が、まさにこれに該当します。
たいていはこの段階で引っかかります。
法人登記は生きているのに登録だけが抹消された状態で延長を申請し、不許可になるケースは珍しくありません。
在留資格は「活動」を基準に判断されます
「出入国管理法」第17条第1項は、外国人が在留資格と在留期間の範囲内で在留することを定めています。
D-8は投資した法人の経営・管理活動が前提ですが、オフィスがなくなり、従業員もおらず、売上がゼロであれば、その活動が存在しないと判断される余地が大きくなります。
要点はここです。
廃業申告書一枚ではなく、実体がいつ消えたのかが分かれ目になります。
| 事業の状態 | D-8維持の可能性 | 実際の審査で見られる点 |
|---|---|---|
| 売上低迷・赤字継続 | 維持の可能性あり | 事業継続の意思、資金計画、社会保険の維持状況 |
| 債務超過(資本欠損) | 事案により分かれる | 欠損の原因、増資計画、債務整理の方向性 |
| 休業申告 | 弱い | 休業期間、再開時期、オフィス賃貸借の維持 |
| 廃業・清算開始 | 事実上困難 | 清算の進行状況、残りの在留目的 |
| 外国人投資企業登録の抹消 | 根拠が消滅 | 抹消事由、持分処分の内訳、回収届出 |
注意: 債務超過の状態でも、延長が許可された事例と不許可になった事例の両方が存在します。欠損率・事業年数・雇用維持の有無によって結果が分かれるため、ご自身の財務諸表をもとにした要件検討が必要です。
廃業・休業の前に確認すべき届出義務と期限
「15日」という期限が、最も多く見落とされる部分です
「出入国管理法」第35条は、外国人登録事項に変更事由が生じた場合、15日以内に届け出るよう定めています。
所属機関の名称・所在地が変わった場合や、所属機関自体が消滅した場合がこれに含まれます。
同法第19条は外国人を雇用した機関にも届出義務を課しているため、法人側の届出と個人側の届出がそれぞれ別に動きます。
この期限を過ぎると過料や通告処分につながる可能性があり、その後の在留資格変更審査にも記録としてそのまま残ります。
順序を間違えると話がこじれます
現場では、廃業申告を先に済ませてから出入国官署に行くケースが多く見られます。
その瞬間、身分は「根拠のないD-8」となり、選択肢が狭まります。
実務では、廃業の確定前に移行ルートを先に固め、届出と変更申請のスケジュールを噛み合わせて設計します。
| 手続項目 | 管轄 | 期限 |
|---|---|---|
| 外国人登録事項変更届 | 管轄の出入国・外国人庁(事務所) | 事由発生日から15日以内 |
| 所属機関の届出(法人側) | 管轄の出入国・外国人庁(事務所) | 事由発生日から15日以内 |
| 廃業申告 | 管轄税務署 | 遅滞なく |
| 外国人投資企業登録の抹消 | KOTRA または外国為替銀行 | 事由発生後 |
| 在留資格変更許可申請 | 管轄の出入国・外国人庁(事務所) | 既存の在留期間満了前 |
実務のヒント: 処理期間は出入国事務所ごとにばらつきが大きいのが実情です。管轄の指定が可能な事案であれば、処理の早い官署を選んでスケジュールを合わせるほうが安全です。
D-8から乗り換えられる在留資格のルート
D-10(求職・技術創業準備)で時間を稼ぐ方法
事業をたたんだものの韓国に残る必要があるなら、まず検討されるのがD-10です。
D-10-1は求職、D-10-2は技術創業の準備に対応します。
点数制の要件を満たす必要があり、学歴・経歴・年齢・韓国語能力の配点は毎年調整されます。
本年度に適用される配点表と最低点数はハイコリアで告示されており、ご自身の経歴でどの項目が加点されるかは個別の確認が必要です。
E-7(就労)、F-2(居住)、配偶者資格へ移行する場合
法人をたたんで他社に雇用されるルートであれば、E-7が現実的な選択肢になります。
すでにD-8で長く在留してきた方は、点数制居住(F-2-7)の要件を相当程度満たしている可能性もあります。
韓国人の配偶者がいる場合は、F-6へ移行する道も開かれています。
ここで差がつきます。
同じ廃業でも、在留年数・所得履歴・納税実績が残っている人とそうでない人とでは、選択肢の幅がまったく異なります。
| 移行ルート | 主な対象 | まず確認すべき点 |
|---|---|---|
| D-10-1(求職) | 再就職を準備中の投資家 | 点数制の配点、残りの在留期間 |
| D-10-2(技術創業準備) | 再度の起業を狙う場合 | 創業移民教育・知的財産権の保有状況 |
| E-7(特定活動) | 国内企業への就労 | 学歴・経歴のマッチング、招請企業の要件 |
| F-2-7(点数制居住) | 長期在留・所得履歴を持つ方 | 総得点、所得要件、在留年数 |
| F-6(結婚移民) | 韓国人配偶者がいる方 | 所得要件、住居要件 |
注意: F-2-7の所得基準は前年度のGNIを基準に毎年変わります。本年度の適用ラインとご自身の所得認定範囲は、相談を通じてご確認ください。
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廃業の時点、届出の時点、変更申請の時点が一日ずれるだけでも、選択肢は減っていきます。
事業をたたまずにD-8を継続する再編の方法
増資・業種変更で実体を立て直す場合
投資の失敗が、そのまま廃業を意味するわけではありません。
既存法人に追加出資を入れて債務超過を解消したり、事業目的を実際に売上の立つ業種へ定款変更したりする方法が、実務ではよく用いられます。
この際、追加出資分は「外国人投資促進法」第5条に基づく外国人投資申告を改めて経て、送金・払込の流れが記録として残ってはじめて認められます。
お金が入ってきたという事実よりも、その資金がどこから出て、どの経路で資本金になったのかという説明が弱いと、そこで一気につまずきます。
法人を清算して新規法人を設立し直す場合
既存法人の負債が大きい場合は、再編よりも清算後の新設のほうがすっきりすることがあります。
問題はここから始まります。
前の法人の廃業履歴が、新規D-8の審査における「事業の継続可能性」の項目にそのまま影響します。
最近の類似事例では、新規法人の事業計画書に以前の失敗原因と改善の仕組みを明記して審査を通過したケースがありましたが、どの項目をどこまで書くかが結果を分けました。
長く書くよりも、失敗の原因を正確に突き止めて示すほうが効果的です。

投資金の回収と送金、そして出国時の整理
回収手続きを飛ばすと、後で足をすくわれます
持分を処分する場合や清算の残余財産を受け取る場合は、外国為替銀行を通じた処分・回収の手続きを経る必要があります。
この手続きを踏まずに資金を国外へ送ろうとして止められるケースはよくあります。
外国人投資企業登録の抹消と回収届出は、セットで動くものと考えてください。
関連制度の案内は産業通商資源部とインベストコリアで確認できます。
税金と社会保険を残したままだと、次のビザで引っかかります
法人税・付加価値税の未納、源泉税の未申告、社会保険の滞納が残っていると、その後どの在留資格を申請しても、その記録がついて回ります。
在留資格変更許可は「出入国管理法」第24条、在留期間延長許可は第25条を根拠としますが、どちらの審査でも納税履歴が見られます。
条文の原文は国家法令情報センターで確認できます。
整理チェックリスト
- 廃業申告の前に在留資格の移行ルートを確定
- 外国人登録事項変更届の15日期限を確認
- 法人の税務申告および未納税額の整理
- 社会保険の資格喪失届および滞納の精算
- 外国人投資企業登録の抹消・投資金回収の届出
- 賃貸借契約の解約および保証金の精算
実務でよくこじれる三つのパターン
在留期間の満了直前に動き出す場合
満了まで2週間という段階で相談に来られると、使えるカードは半分に減ります。
D-10の点数の補強にせよ、E-7の招請企業の確保にせよ準備期間が必要なのに、その時間がないからです。
書類は揃っているのに説明がない場合
廃業事実証明、財務諸表、清算書類をすべて提出したのに不許可になることがあります。
書類が多くても、なぜ失敗し、これから何をするのかというつながりが見えなければ、審査官の側に判断の材料がありません。
まさにここが分かれ目です。
出国してから再入国で解決しようとする場合
いったん出国して新しいビザで入り直せばよい、と考える方が多いのですが、廃業の履歴や届出漏れは在外公館の審査にもそのまま反映されます。
出国が正解となる事案もありますが、整理の順序を守らずに出てしまうと、再入国の段階で止められます。
実務のヒント: ここ数年の間に、創業・投資関連の審査基準で調整された項目があります。ご自身の事案にどの基準が適用されるかは、管轄機関での確認が必要です。
よくあるご質問
Q1. 会社が廃業したら、D-8ビザは即座に取り消されますか?
即座に自動で取り消される仕組みではありません。
ただし在留の根拠が失われた状態であるため期限内の届出義務が生じ、その後の延長申請は事実上難しくなります。
残りの在留期間のうちに他の在留資格へ変更するほうが、現実的な対応です。
Q2. 債務超過が発生しただけですが、D-8の延長は可能ですか?
可能性はあります。
欠損の規模、事業年数、雇用の維持、増資計画によって結果が分かれます。
まずは財務諸表をもとにした要件の検討が先です。
Q3. D-8からD-10に変えると、何年まで在留できますか?
D-10は付与期間と延長の上限が定められており、求職活動の実績によって延長審査の内容が変わります。
詳細な基準は変更の可能性があるため、ハイコリアの公告と管轄機関での確認が必要です。
Q4. 投資金を回収して本国へ送金するには、どのような手続きが必要ですか?
外国為替銀行を通じた処分・回収の手続きと、外国人投資企業登録の抹消が併せて進みます。
税金の精算が終わっていないと、送金の段階で止まる場合があります。
Q5. 廃業した法人の履歴があると、再度D-8を取得できませんか?
取得できないと断定することはできません。
以前の失敗原因と新規事業の改善の仕組みを事業計画書でどう説明するかによって、事案ごとに結果は変わり得ます。
Q6. 手続きの費用はどのくらいかかりますか?
費用は事案ごとに異なるため、無料相談の際に正確にご案内します。
官公庁への納付分は、政府告示の手数料+行政処理費で構成されます。
専門家への相談をご希望ですか?
廃業の時点、届出の期限、在留資格変更の申請時点を一つのスケジュール表にまとめてはじめて、選択肢が残ります。
一人で対応するのが難しいのは、どの届出を先に出せば残るカードを維持できるのかを判断する部分です。
正確な費用と手続きは、専門家への相談でご確認ください。
ビジョン行政士事務所のサービス案内
- D-8在留期間の延長および再編(増資・業種変更)の設計
- 廃業・清算時の在留資格変更ルートの検討および申請代行
- D-10 / E-7 / F-2 への移行要件の診断
- 外国人投資企業登録の抹消および投資金回収手続きの支援
- 届出期限の管理および管轄出入国官署への対応
ビジョン行政士事務所 (VISION Administrative Office)
電話: 02-363-2251
メール: 5000meter@gmail.com
住所: (04614) ソウル特別市中区退渓路324、3階(ソンウビル)
カカオトーク: alexkorea
在留期間の満了が近づくほど、使える手段は減っていきます。
満了日の少なくとも1か月前にご連絡いただければ、検討できるルートの幅が広がります。
専門家への相談が必要ですか?
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