韓国の投資プロジェクトが失敗した後のビザ対応 — D-8 廃業・資本欠損への実務対応
投資法人が立ち行かなくなっても、D-8 の在留資格がその瞬間に消えるわけではありません。廃業・解散のタイミングと届出の管理次第で、在留継続と出国命令のどちらに転ぶかが決まります。
本稿は、D-8-1(法人投資)・D-8-4(技術創業)を保有し、資本欠損、長期休業、廃業、清算、投資金の回収といった状況に直面している方を対象としています。
以下では、失敗のタイプ別に在留資格へ及ぼす影響、必ず履行すべき届出義務、他の在留資格へ移行するルート、再投資による D-8 の再構築、そして実務で最もこじれやすいポイントまでを扱います。
D-8 ビザは廃業すると在留資格がどうなるのか
資格の土台が消えれば、資格そのものが揺らぎます
D-8 は個人に与えられる資格ではなく、外国人投資企業という実体に紐づいた資格です。
法人が消滅したり、外国人投資企業の登録が抹消されたりすると、在留資格の根拠そのものがなくなります。
根拠となるのは、出入国管理法施行令 別表1の2 の長期滞在資格のうち企業投資(D-8)の項目、そして 外国人投資促進法 第21条 の外国人投資企業の登録および登録抹消に関する規定です。
問題はここから始まります。
「会社がつぶれたのだからビザも自動的に終わっているだろう」と考え、何の届出もしないまま残りの在留期間を過ごしてしまう方が少なくありません。
自動取消ではなく、後からの発覚です
実際には、廃業した瞬間にシステム上で在留資格が取り消されるわけではありません。
在留期間の延長審査のとき、あるいは国税庁や法人登記の情報と突き合わせる過程で、後になって表に出てきます。
このとき届出の漏れも同時に確認されると、単なる資格喪失では済まず、義務違反が上乗せされて処分の重さが跳ね上がります。
まさにこの点です。
廃業したという事実よりも、廃業を伏せていた期間のほうが不利に働きます。
失敗のタイプによって対応はまったく変わります
資本欠損・休業・廃業は同じ扱いではありません
現場には「事業がうまくいっていない」という一言で相談が来ますが、審査ではこの三つがまったく別物として処理されます。
| 失敗のタイプ | D-8 在留資格への影響 | 実務上の対応方針 |
|---|---|---|
| 売上不振・赤字(法人は存続) | 資格は維持、延長審査で事業継続性の疎明を求められる | 業績不振の理由書+今後の運営計画の補強 |
| 資本欠損(投資金の枯渇) | 投資金が維持されているかが争点化、延長不許可の可能性 | 資金の使途の証憑、追加投資の検討 |
| 長期休業(事務所・従業員なし) | 実体なしと判断されれば資格不適合 | 事務所・活動の再開、または資格変更 |
| 廃業・解散登記の完了 | 資格の根拠が消滅 | 直ちに届出のうえ変更または出国の準備 |
| 破産・再生手続の進行中 | 手続進行の事実が疎明資料になる | 裁判所の決定文を基準に在留方針を決定 |
最も危ういのは「宙ぶらりんの休業」です
廃業登記はしていないのに、事務所もなく従業員もおらず売上もない状態。
実務で最も引っかかるのがこのパターンです。
書類上は法人が生きているので本人は問題ないと考えますが、実際の審査では現地確認や事業場の実態調査によって実体のなさが明らかになります。
投資金がどこへ流れたのかの説明が不十分だと、ここで一気にこじれます。
注意: 事業の失敗そのものは違法ではありません。問題になるのは、投資金が事業目的以外に流出した形跡、そして届出義務の不履行です。
最近の類似事例でも、廃業の時期よりも投資金の流れをどう説明したかが処分の結果を分けました。
ご自身の口座の動きがどう解釈されるかは、資料を直接確認しなければ判断できません。
廃業・解散の際に必ず履行すべき届出
期限を逃すと挽回が難しくなります
まず確認すべきは届出の期限です。
| 届出項目 | 根拠 | 取扱機関 |
|---|---|---|
| 外国人登録事項変更届 | 出入国管理法 第35条 | 管轄の出入国・外国人庁(事務所) |
| 雇用外国人に関する届出 | 出入国管理法 第19条 | 管轄の出入国・外国人庁 |
| 外国人投資企業の登録抹消 | 外国人投資促進法 第21条 | KOTRA / 外国為替銀行 |
| 廃業申告 | 付加価値税法 | 管轄の税務署 |
| 解散・清算登記 | 商法 | 管轄の登記所 |
届出期限は項目ごとに異なり、改正の履歴もあります。
正確な期限は Hi Korea の告知、または管轄機関への確認が必要です。
順番を逆にすると書類が詰まります
実務では、順番が結果を変えます。
- 税務署への廃業申告を先に済ませてしまうと、事業者登録証明が発行されず、在留資格変更の書類構成が難しくなります
- 外国人投資企業の登録抹消を先に行うと、再投資の際に新規届出として一からやり直すことになります
- 解散登記の前に在留資格変更を申請しておけば、審査中の在留がつながる余地が生まれます
たいてい、この段階でつまずきます。
どれを先に処理すべきかは、残りの在留期間と廃業の理由によって変わります。
一人では判断しづらい順番の問題なら、今すぐご確認ください。
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正確な費用と手続は専門家への相談でご確認ください。
D-8 から他の在留資格へ移行するルート
変更できる資格は思ったより狭いです
出入国管理法 第24条 の在留資格変更許可により申請自体は可能ですが、実際に許可の見込みがあるルートは限られています。
| 代替資格 | 中心となる要件 | 現実的な難易度 |
|---|---|---|
| D-10(求職) | 学歴・経歴の点数基準を満たすこと | 中 — 在留延長の幅に制限 |
| D-10-2(技術創業) | 創業移民プログラムへの参加など | 中の上 — 準備期間が必要 |
| E-7(特定活動) | 国内企業との雇用契約+学歴・経歴要件 | 中の上 — 雇用主の確保が鍵 |
| D-8 の再取得 | 新規法人の設立+新規の外国人投資申告 | 上 — 過去の廃業歴が審査対象 |
| F-2-7(点数制) | 所得・学歴・年齢などの点数基準 | 上 — 廃業後は所得要件が弱い |
| G-1 | 訴訟・再生など国内手続の進行中 | 事案限定 |
失敗の履歴は次の審査についてまわります
ここで差がつきます。
廃業歴のある申請者は、同じ書類を出しても審査の厳しさが違います。
前の法人の投資金がどう使われ、なぜ失敗したのかについての説明が弱いと、新たな資格の申請でも事業の真正性への疑念につながります。
書類の量があっても、この説明が足りなければ結果は分かれます。
実務のヒント: 廃業理由書は長く書くことよりも、会計資料と時点が噛み合っているかが先に見られます。売上の落ち込んだ時期、賃貸借の終了日、従業員の退職日、資金の枯渇時点が互いにずれていると、すぐに質問が飛んできます。
D-10 と E-7 の詳細な点数基準や職種要件は毎年調整されており、ご自身の学歴・経歴がどの区間に当たるかは履歴書を直接検討しなければ確認できません。

再投資で D-8 を立て直すルート
新しい法人は「ゼロからの再出発」ではありません
新たに法人を設立し、外国人投資促進法 に基づいて改めて外国人投資の申告を行えば、D-8 を再取得できる可能性があります。
ただし、前の法人の廃業が正常に整理されていなければ、新規申告の段階から止まります。
- 前の法人の税金の滞納が残っていないか
- 清算手続が完了しているか
- 以前の投資金が正常に事業へ投入されていたか
- 賃金未払いなど未解決の債務がないか
この四点が先に片付いて、はじめて次の段階が開きます。
投資金の要件は改めて満たす必要があります
以前の投資金をそのまま引き継ぐ方式は、認められないケースがほとんどです。
新規の投資金は改めて海外から送金され、外国為替銀行を経由しなければならず、資金の出所の疎明も新たに求められます。
最低投資金額の基準や認定範囲は 産業通商資源部 の告示および関連指針によって変わるため、今年適用される基準は相談のうえご確認ください。
注意: 廃業の直前に資金を引き出し、それを新しい法人へ入れ直す方式は、投資金の真正性審査で問題視される可能性が高いです。資金の流れは時点単位で確認されます。
実務で最もこじれやすいポイント
在留期間の短縮と出国命令
廃業の事実が確認されると、残りの在留期間がそのまま維持されるとは限りません。
管轄庁は在留期間を短縮したり、出国のための準備期間だけを与える方向で処理することもあります。
在留期間の延長は 出入国管理法 第25条 に根拠がありますが、資格要件が失われた状態での延長は事実上困難です。
家族の在留資格も一緒に崩れます
見落とされがちなのが同伴家族です。
F-3(同伴)の資格は主たる在留資格者に従属するため、D-8 が揺らげば配偶者と子どもの在留も同時に揺らぎます。
子どもが学期の途中であったり、配偶者が別途就労している場合は、処理の順番を個別に設計する必要があります。
チェックリスト — 今すぐ確認すべきこと
- 残りの在留期間は何か月か
- 廃業・解散登記がどの段階まで進んでいるか
- 外国人投資企業の登録がまだ生きているか
- 税金・四大保険・賃金の未納がないか
- 投資金の使用明細を証憑で示せるか
- 同伴家族の在留期限はいつか
この六つのうち一つでも答えが曖昧なら、申請の前にまず整理が必要です。
処理期間は出入国事務所ごとに差があるため、最も早く進められる窓口をお探ししてご案内します。
よくある質問(FAQ)
Q1. 会社は廃業しましたが、まだ在留期間が残っています。このままでも大丈夫ですか?
在留期間が残っていても、資格の根拠が消えた状態です。
届出義務を果たさないまま過ぎた期間が長いほど、その後の処分で不利に働きます。
まず管轄の出入国・外国人庁へ届け出たうえで、変更の可否を検討する順番が安全です。
Q2. 赤字続きですが、まだ廃業はしていません。延長はできますか?
赤字そのものが延長不許可の理由になるわけではありません。
実際の審査では、事業が現に運営されているか、投資金が事業に残っているかを見ます。
事業場、従業員、取引実績のいずれかが欠けていると、ここで引っかかります。
Q3. 廃業後すぐに新会社を作って D-8 を取り直せますか?
可能性はありますが、前の法人の整理状況が先に確認されます。
滞納、未清算、債務が残っていると、新規の投資申告の段階で止まります。
Q4. D-8 から D-10 求職ビザに変更した場合、どのくらい滞在できますか?
D-10 は付与される期間と延長回数に制限があります。
点数基準と延長要件は調整されてきているため、現在適用されている基準は Hi Korea または管轄機関への確認が必要です。
Q5. 再生手続を申し立てました。その間の在留はどうなりますか?
裁判所の手続が進行しているという事実は、在留理由の疎明資料になります。
ただし、どの資格でどれだけの期間が付与されるかは、決定文の内容と個別の事情によって変わります。
Q6. 費用はどのくらいかかりますか?
費用は事案ごとに異なるため、無料相談の際に正確にご案内します。
政府への納付分は、政府告示の手数料+行政処理費で構成されます。
専門家への相談をご希望ですか?
投資事業の失敗後のビザ対応は、廃業申告、登記、税務の整理、在留資格の変更が互いに噛み合って動きます。
順番を一度間違えると元に戻すのが難しく、残りの在留期間が短いほど選択肢は急速に狭まります。
一人で進めるのが難しいのは書類の準備ではなく、どの手続を先に止め、どの手続を先に終わらせるかを判断する部分です。
関連指針は改正が頻繁なため、在留期限までに余裕をもって検討されることをお勧めします。
VISION行政士事務所のサービス案内
- 廃業・解散の状況における D-8 在留資格の診断
- 外国人登録事項変更届および関連届出の代行
- D-10 / E-7 / F-2 など在留資格変更の検討および申請
- 新規法人の設立と外国人投資申告による D-8 の再取得
- 外国人投資企業の登録抹消および清算関連の行政手続
- 同伴家族(F-3)の在留整理および連携対応
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